先週、ある大手アパレル会社の面接がありました。男性4人と女性4人の8人を面接に連れていくことを約束し、JRの改札口で待ち合わせしました。16:30からの面接でしたが、16:00に集合するということで、15:55分には7人が集まっていました。

正社員の面接なので、基本的には、スーツを着用し、履歴書を持ってくることになっています。ところが、16;00ちょうどに現れた男性1名は、私服で来てしまいました。会社によっては、わざと「私服で来なさい」という会社もありますが、そうでない場合がほとんどです。しかも、前日に、時間と場所、スーツ着用のこと、新しい履歴書を持参すること等をお願いしていました。

本人に聞いたところ、「私服で」と勘違いしていたと言うのです。面接の時間まで30分しかない状況です。彼の家まで戻って着替えてくる時間はありません。見たところ、「私服」といっても、落ち着いた感じで似合ってましたから、「仕方がない。私が先方に説明するから、これで行こう」ということで、全員に面接の心構えと、以前この面接で聞かれた内容等を伝えながら、先方の会社に向かいました。

何人目かが終わり、彼の番が来ました。面接時間は20分で、「ちょっと長いかなぁ」という感じでした。しかし、個人面接を終えて控室に帰ってきた彼の顔は、少し晴れ晴れとしているように見えました。

「どうだった?」

「ばっちりですよ」

よくよく話を聞いてみると、やはり、「なぜ私服だったのか」と聞かれたそうです。そして、その時彼は、「みんながスーツだから、目立つためにあえて私服で来たました」と答えたというのです。

ちょっと前に、集合場所の駅で尋ねた時は、本当に困った顔でしたから、そういう作戦だったとは思えません。どうやら、とっさに考えた「理由」だったらしいのです。

それがいいのか悪いのかといったら、指示を間違えた彼はいけないに決まっていますが、そのハンディキャップを切り返す「気転」としては、悪くないと私は思いました。問題は、相手にそれが通じるかどうか・・・。 

翌日、面接の担当者から電話をいただき、内定者の名前を聞きました。―― 幸いなことに、彼は、内定をもらうことができました。