安倍首相が、「アベノミクス第2弾」として、「ニッポン一億総活躍プラン」を発表し、「少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も、人口1億人を維持する。その国家としての意志を明確にしたい」と発言している。じつは、この「一億総活躍プラン」に指摘されていない矛盾点が含まれている。

じつは、2014年2月24日に内閣府が公表した「目指すべき日本の未来の姿について」においては、2012年において1.41という水準に過ぎなかった「合計特殊出生率」を2030年に2.07にまで急回復させ、その後はこの水準を維持させるという「ほとんどあり得ない仮定」に基づいた推計を指し示し、その場合ですら2060年には9894万人までしか到達せず、1億人を維持することが極めて困難であることが明らかになっているからだ。

ところが、「一億総活躍プラン」においては、「第二の矢は、『夢』を紡ぐ『子育て支援』であります。そのターゲットは、希望出生率1.8の実現です」と明言している。つまり、前述した「合計特殊出生率2.07」を目指していないことは明白であり、相対的に低い1.8という水準の仮定の下では、第二の矢が仮に計画通りに機能して「希望出生率1.8」を早期に実現し、その後その水準を維持できたとしても、2060年に日本の人口が1億人を大きく割り込むことは明らかである。

だとすれば、「50年後の1億人」と「希望出生率1.8」が導き出す回答は、「移民の受け入れ」しかあり得ない。

今後50年間で、日本人が4000万人減少するという現実の下では、遅かれ早かれ、「移民=外国人の受け入れ」を選択するしか道がないという事実が露わになってくる。果たして、日本政府は、この矛盾にどう答えるのであろうか。在留資格制度は、適切に緩和されていくのであろうか?